人生100年時代と言われて久しくなりました。ひと昔は55歳で定年退職をしていたサラリーマンも、65歳定年は珍しくなくなり、定年後も精力的にお仕事に励む方も増え続けています。
一般的には、年齢を重ねるほどに身体は老化し、若いころに比べて無理が利かなくなるのは誰もが経験することです。こうした身体的な老化は、個人差はありますが止めようがないのが特徴です。しかし精神的には、60,70代でも20代のころと変わらず元気な人はたくさんいます。一方で、まだ30代なのに精神的にやつれている人も大勢います。しかし、「感情的な老化」は、工夫次第で止めることも若返ることもできるのです。ここから先は「感情の老化が進む原因」と「感情の老化を止める」方法を見ていきたいと思います。
目次
≪「心配する」だけでは、感情は老化し続ける≫
今後のことを心配したり、ダメになる自分を想像しても何も始まりません。つまり、心配はそれ自体から何も生むことはありません。心配だから「○○しよう」と、具体的に行動に移して初めて生産性を持つのです。
大学受験でも、不思議なことに神経質な受験生は合格します。というのは一定の条件が必要で、その神経質さが「覚えたことを忘れてしまっていないか」という不安に向かい、そして「復習する」というアクションに出た場合に合格します。
神経質さが、不合格になるのではという不安に向いてしまい、勉強の能率を落とすと受験にも失敗してしまいます。
心配な気持ちを、前向きな具体的アクションに変換することができるかどうかが、成功と失敗の分水嶺です。リストラが心配だから資格を取ろうとか、リストラが心配だから何かしらの能力を磨こうというように、心配を前向きの力に変えることができれば成功します。
ところが、心配だから今やっていることが手につかないとか、不安だからやる気がなくなるとか、どうせリストラは止められないさという思いがあると、そればかりが気になってしまい、何も前向かことをしない人間は、結果的にリストラに遭って困ってしまうでしょう。
心配が行動に対してチェック機能を果たす場合や、心配だから○○をしようとポジティブな方向に向くのであれば、心配という感情は非常に大事になります。
つまり、心配で終わらせてしまってはいけないのです。具体的にアクションに落とし込めて初めて意味があるのです。
行動レベルで人間は評価されるので、どれだけ良いことを考えていても、それを行動に移し、さらに習慣づける必要があります。
年齢を重ねるほど思索の人になるのが美徳とも思われることがありますが、これは逆で、年齢を重ねるほど意識的に行動を起こすようにした方がいいのです。
≪諦めモードに入ると、感情は老化し始める≫
感情の老化を防ぐ方法は先ほど見てきましたが、根本的には「人生に夢や希望を持てるか」どうかが、感情の老化を防ぐ上で非常に大きなポイントになります。言い換えれば、「自分の可能性を信じられるかどうか」です。
大学受験でも志望校に行けなかった。会社も希望するところではなかった。結婚も妥協した。自分は何をしても「そこそこ」だった・・・こうして「変わりたい」と思っている人が、実際に自分の行動を変えて習慣作りができるかどうかが重要です。思っているだけでは何も変わりません。そして、やるかやらないかは結局「自分の可能性を信じるかどうか」にかかっています。
ポテンシャルがあって、やり方を変えればもっとうまくいく人は大勢います。しかし残念なのは、往々にして本人が自分のポテンシャルに気づいていないことです。ちょっとしたつまずきから「まぁ、人生そんなもんだ」と感情的に老化して「諦めモード」で人生を過ごしてしまう人が多いのです。
大学受験に失敗しただけで「諦めモード」に入り「自分なんか」と思ってしまう人は、「年だから」と思う人より何倍も感情的に老化しています。そして、人生には諦めモードに入る原因はたくさんあります。
諦めモードに入る人間もたくさんいる中、「大学受験では失敗したけれど、何とかして外資系投資銀行に入って、周囲を驚かせてやろう」と努力する人や、就職先は希望のところではなかったけれど、配偶者だけはステキな人に出会いたいと思って頑張る人だってたくさんいるのです。
≪自信満々な人間は、感情の老化が進みにくい≫
諦めモードに入る人と、踏みとどまって頑張ろうとする人の違いは、小さくてもいいから「成功体験があるかどうか」の差です。
受験の話ばかりして恐縮ですが、偏差値レベルで40を切るような劣等生でも、勉強ができる人の勉強法を真似て、必死に勉強したら東大法学部に合格した例があります。重要なのは、その勉強法の優劣より、方法を変えれば自分も変わるかもしれないと、自分の可能性を信じ、挑戦したことです。
結果的に東大に合格し、自信がある人になり、司法試験にも合格したようです。人生観がポジティブな方に180度転換した瞬間です。
こうした話を聞くと、本来この人は天才で、たまたま才能が開花しただけと考える人も大勢います。しかしこうした例を「天才」の一言で片づけていては、決して人生が好転することはないでしょう。自分とは関係のない話と思ってしまえば、それで終わりです。
人生の中で出会う他人の物語には、様々な解釈の仕方があります。同じ事実でありながら、見方によっては全く逆の結論を出せることだってあります。
何かでうまくいかないときは、上手くやっている人の方法を真似てみましょう。そうして小さな成功体験を作ることができれば、「やればできる」という気持ちにもなるでしょう。それを繰り返すと「やればなんとかなるはずだ」という人生観がどんどん強化されてきます。最終的には、何があっても楽観的に覚悟を決めて大仕事が成功するかも知れません。「自分はやればできる人」という自信に満ちた人間になることができるのです。
成功体験のきっかけは、不純なもので構わない
感情を老化させずに厚かましい人間になるには、どんなことでもいいから自分が成功を体験するのが大切です。きっかけは何でもよくて、行動を変えます。行動を変えないことには小さい成功体験すらできません。小さい成功体験すらできないなんて「自分はダメだ」とどんどん落ち込んで行って、人生こんなものだろうと、諦めモードに入ってしまうのです。
きっかけは何であるかは分かりません。例えば、すごくかわいい新人が入ってきたとか、その子がなぜか自分ばかり頼ってきて、なんとなく自分に気がありそうだとか、それくらいでいいのです。
それがたとえ幻想であっても、その子の前で少しでもいい格好をしようとか、少しでも仕事のデキる人間に見せようと思えれば、行動が変わります。前向きに仕事ができるようになるでしょう。
自分にはもう、そんな恋愛なんて一生内と諦めていれば、せっかくかわいい新人が入ってきて、妄想が膨らんでも、何もしないで終わってしまいます。しかし、現実に行動が変われば、周囲の評価も変わります。周囲の部下や後輩からは「新人が入ってきたら急に張り切りやがって」と冷たい目で見られるかもしれませんが、結果的に業績が上がれば会社からは評価されますし、何より「やればできる」という自信につながります。
たとえ不倫願望といった不道徳な動機でも、自分の行動を変えて小さな成功体験を与えてくれるなら、全く問題はないでしょう。感情の老化を止めるには、動機はどうあれ、自分がそのために頑張れることを見つけて、可能な限り早く成功体験を重ねることが重要です。
≪年齢を理由にして一歩引くのは、不要≫
人生100年時代と言われるようになって久しいですが、それと同時に近年では「生涯学習」とか「生涯現役」という言葉が肯定的にとらえられるようになりました。一方では「老害」という言葉も根強く残っています。経営者が60,70になっても引退しないでいると「勇退という言葉を知らないのか」と陰口を叩く社員が少なからずいるものです。
しかし、能力的に劣っていない限りは、若い人間に負けないように競争するということは老害でも何でもないでしょう。自分の方が仕事ができなくなったのに、権力を振りかざしているのが老害であって、自分の方が若い人より仕事ができているといううちは、後進に道を譲る必要はありません。
引退するかどうかを決めるのは、客観的な指標です。現在会社の業績が伸びているうちは、後進に譲る理由はありません(但し、世代交代の準備は進めるべきでしょう)。
プロセスよりも結果が求められるのが経営者ですから、自分の進退も数字で評価するのが重要です。
なぜこの例を出したのかというと、年配者は感情の劣化が進行しがちですから、ギラギラの例外的な年配者を除けば、後進に道を譲りたがるのが通例だからです。仕事・勉強・恋愛ともに「年だから」とつい諦めてしまうのです。
例外的なギラギラした成功者のお年寄りだけを見て、老害だのなんだのと批判するべきではありません。そうしたケースは目立つから批判されるだけであって、老害だといわれる人など、本当は年配者の1%もいないはずです。
それに「年だから」ということを口にして隠居生活に入るには、寿命が伸びすぎているのも現代社会の特徴です。50歳で年齢を気にしていたら、あと30~40年もつまらない生活を送ることになってしまいます。
それよりは若者に負けないなら現役を続けて、楽しめることを楽しめる限り続けた方がいいでしょう。楽しむことが感情の老化を防ぎ、免疫機能も高めるからです。
≪まとめ≫
小さな成功体験をたくさん積んでいくと、「何とかなるさ」と楽天的に考えられるようになります。人は多少ネガティブな方が賢く見えるようですが、ネガティブになって行動を起こせなくなったら、成功体験を積むチャンスさえ逃してしまいます。不安な気持ちがあるなら、「じゃぁ、どうしたらいいか?」を考えて、とにかく行動を起こしましょう。
ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。
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