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働き方改革の本当の意味と注意点!働き方改革を上辺で把握してる管理職は要注意!

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近頃よく耳にするようになった「働き方改革」。

いったいどういうものなのか、あなたは説明できますか?

「なんとなくはわかるけど、上手く説明できない」という方が多いのではないでしょうか。

けれど管理職や従業員のマネジメントに関わる方は、「わからない」では済ませられませんよね。トップから「働き方改革への取り組み」を求められ、頭を悩ませている方も多いのではないのでしょうか。

ここでは「働き方改革」が導入された背景や概要、推進のためのポイントなどを、問題点や実際の取り組み事例などを交えてわかりやすくご紹介いたします。

働き方改革とは──概要と背景

働き方改革は、つまりどういうもの?

働き方改革について、首相官邸のウェブサイトでは「一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ」であると説明しています。つまり、「一億総活躍社会を実現するために重要な意味を持つ政策」という事です。

一億総活躍社会とは、第三次安倍改造内閣の成長戦略の目玉であり、「50年後も人口1億人を維持し、職場・家庭・地域で誰しもが活躍できる社会」の事。社会的包摂を掲げ、これ以上の人口減少に歯止めをかけるための政策を実現するにあたり、働き方の改革が必要だと国が動き出したのです。

働き方改革が産まれた背景

働き方改革が産まれたのは、近年長時間労働や過労死が問題になっているからだと思っていませんか?

実は、働き方改革が産まれた本当の背景には、止まらない日本の人口減少と少子高齢化があります。

下図は1990年から2110年までの日本の将来推計人口のグラフです。日本の総人口のピークであった2013年から、50年後の2060年で8674万人、100年後の2110年には約4286万人にまで減少すると見られています。

日本の将来推計人口

これは、少子高齢化が単純に「子どもが減り高齢者が増える」だけのものではなく、「それが原因で人口が減っていく」ものとなる事を示しています。

またこれにより、総人口に占める年少人口(0〜14歳)の割合が低下するだけでなく、生産年齢人口(15〜64歳)の割合も低下していく事が考えられます。つまり、深刻な働き手不足に陥るということです。働き手が減れば、もちろん経済成長も見込めず日本経済の回復も遠のいてしまいます。

参考:https://bowgl.com/2017/09/07/work-style-reformation/

※引用:内閣府「人口・経済・地域社会の将来像」

働き方改革の「狙い」

上で述べた通り、日本は今、深刻な働き手不足に落ち入る瀬戸際です。既に働き手不足が経営に影響を及ぼす企業も出てきていますが、このまま働き手の減少を止められなければ、珍しい話ではなくなるでしょう。

また、現在の社会保障制度は、一定の働き手が確保できる事を前提に作られているため、このままでは社会保障制度が財政的に破綻する可能性も出てきます。

そこで、それらを防ぎ、できるだけ長く現状の社会システムを維持するため、働き方改革では、以下のの3つの達成に取り組んでいます。

  1. 働き手を増やす=就労していない人・就労が難しい人が働きやすくする。
  2. 出生率を上げて人口減少に歯止めをかける=未来の働き手を増やす。
  3. 労働生産性を上げる=労働投入に対する成果率を上げる。

上図で見ると、今は総人口が減少に転じた初めの時期と言えます。手遅れになる前に、効果的な対策をこうじる事が必要なのです。

働き方改革の3つの方針

働き方改革の実行計画策定などのための審議を行うため、平成28年9月に安倍首相を議長とする「働き方改革実現会議」が設置されました。

その第一回の会議では、働き方改革を進めていくために、非正規雇用の処遇改善、賃金引き上げと労働生産性の向上、柔軟な働き方の推進、子育て・介護と仕事の両立……などの9つのテーマを検討していく必要があるとの表明が行われました。

そのなかでも働き方改革を進める上での大きな課題であり、取り組みを考える上で最も重要な3つの方針について、それぞれが及ぼす影響と共に解説します。

1.長時間労働の改善

近年の「過労死」問題に代表されるように、日本の長時間労働は大きな課題です。2013年には国連から是正勧告を出された事もありました。

特に時間外労働(残業・休日出勤など)が非常に多く、問題になっています。未だに一部の人のなかには「長時間は美徳」という価値観が根強く残っている事も、改善を阻む要因と言えるでしょう。

管理職などがそういった価値観を持っていると、組織全体が長時間労働をよしとする風潮になりかねません。

働き手の健康問題だけでなく、少子化の進行にも長時間労働が影響を及ぼしていいます。

父親である男性が育児・家事に参加しにくくなると、必然的に母である女性の負担が増えてしまいます。

出産を終え、キャリアに復帰したいという女性がいたとしても、夫が長時間労働を強いられていれば働ける時間は限られるでしょう。

また、自分自身が長時間労働を求められれば、育児との両立が難しくなり、復帰を諦めざるを得ません。結果として、世帯収入が低下。子育てにかかるコストは年々上昇しているため、複数人子どもを持つ事を望んでいたとしても、実現は難しくなってしまいます。

そのため、働き方改革では具体的に以下の3つを取り入れようとしています。

  • 法改正による時間外労働の上限規制の導入
  • 勤務間インターバル制度導入に向けた環境整備
  • 健康で働きやすい職場環境の整備

2.非正規と正社員の格差是正

非正規雇用と正規雇用には、待遇に大きな差があります。例え同じ仕事を同じ時間だけしていたとしても、正規雇用の方が待遇がいい事はご存知の通りです。

欧州各国なども、雇用形態により差はあるものの、非正規雇用の待遇は正規雇用に対して8割程度。一方日本では約6割にまで落ちてしまい、雇用形態による格差が激しいと言えます。現在、非正規雇用で働く人は、全体の約4割。時間的制約のある既婚女性や、体力的制約のある高齢者などは非正規雇用にならざるを得ません。

この格差をなくすためにすすめられているのが「同一労働同一賃金」です。非正規雇用で長年働いている社員が、入ったばかりの新卒の正社員よりもはるかに待遇が悪い、という例を目にする事も多いはず。こうした場合、その格差を是正しなくてはなりません。

「同一」になるのは賃金だけでなく、福利厚生などの待遇面の改善も含まれています。実効性を確保するための法制度やガイドラインの整備が進められています。

また、「非正規雇用労働者の正社員化などのキャリアアップの推進」への取り組みもはじまっています。

もう一つは「非正規雇用労働者の正社員化などキャリアアップの推進」です。将来的には、非正規という枠組みをなくし、ライフステージにあわせた働き方を選べるようにする事を目指しています。

「同一労働同一賃金」は、経済的にも効果を期待されています。賃金を上げることで消費を促進し、デフレからの脱脚が期待されています。

3.高齢者の就労促進

現在、日本では多くの人が65歳までに定年を迎えています。しかし約6割の高齢者が、「定年を迎えた後でも働きたい」思っている事がわかっています。

働き手の減少が問題になっている今、高齢者は貴重な人材です。しかし、その中で実際に就労している高齢者は2割程度。多くの高齢者が働きたいと思いながら、働くことが叶わないのが現状です。そこで働き方改革では、以下を掲げています。

  • 継続雇用の延長・定年延長の支援
  • 高齢者のマッチング支援

実際に60歳以上の雇用を推進する企業に対して、国からの支援を得ることができるなど、他の2つの方針に比べ、既に具体的に動き出しています。

高齢者の継続・再雇用は、生産性を高めるだけでなく、医療費や介護保険料の抑制にも効果があると言われています。

それまで仕事一筋で働いてきた男性が、定年退職で仕事を離れた途端に目標を失い、認知症が疑われる症状が出てきてしまった……という例を聞いたことはありませんか?

逆に言えば、社会のなかで役割を持ち、生きがいを感じ続けることは、健康長寿につながるのです。特に男性にはその傾向が顕著です。

社会保障制度の支え手不足が問題になっていますが、支えられる側である高齢者自身にも支え手として活躍してもらう事で、経済的な面だけでなく、増え続ける医療費や介護保険料を抑える事につながり、働き手不足の対策にもなるなど、さまざまな効果が見込める有効な対策と言えるでしょう。

「働き方改革」の推進はうまく行かない?働き方改革の問題点は

ここまで、働き方改革のメリットをご紹介してきました。長く問題視されてきた日本の労働環境を改善できるのであれば、こんなに嬉しい事はないですよね。

しかし、これまで長く続いてきた体制を根本から変えるようなこの改革が、本当に実現するのか?と思う方も多いと思います。

ここでは、働き方改革の問題点について、解説したいと思います。

労働時間を短縮したことによる生産性・収入の低下

少し前に話題になった「プレミアムフライデー」。個人消費の増加を目的に、働き方改革のの一環として提唱・推進されたキャンペーンです。毎月末金曜日の就業時間を15時までとする事を奨励するなど、斬新なキャンペーンではありましたが、実際に就業時間の短縮を実施している企業は極めて珍しいでしょう。

夕方前に仕事を終え、街に繰り出すことはとても魅力的ですが、実際には「月末の金曜日なんて一番忙しい時に早くあがることなんてできない!」と思っている方が多いのではないかと思います。

ここまで極端な例ではなくとも、「労働時間が減ったところで、任される仕事の量が減るわけではない」のが現状なのではないでしょうか。長時間労働をしたくてしているわけではなく、しないと立ち行かないから仕方なくしている、という根本的に仕事量のマネジメントが上手くいっていないという部分が疎かになってしまうと、せっかくの改革も効果が薄くなってしまいます。

また、月給制ではなく時給制で働いている人にとっては、就業時間が減ることがそのまま収入の低下につながりかねません。

逆に過労死の可能性を高めてしまう?

少し前に「裁量労働制」という言葉を頻繁に耳にすることがあったのではないでしょうか。労働者に一定の賃金が支払われ、時間に縛られない働き方ができたり、自分の判断で主体的に仕事をコントロールできる制度だと言われています。

しかし一方で、裁量労働制で決められた1日のみなし労働時間内に終わらないような仕事を与えたれたりした場合、実質的な「不払い残業」が発生してしまいます。

また、時間の自由がきくという事は、仕事時間を短くする事もできますが、長くする事もできてしまうという事。

就業時間が決まっていないことで、仕事にメリハリがなくなり、実際の労働時間が「過労死ライン」を超えてしまう可能性も考えらるのです。

管理職・マネージャーが「働き方改革」を推進する際の3つのポイント

働き方改革は、注目度の高い政策である分、社会的な注目度も高くなっています。俗に「ホワイト企業」「ブラック企業」という会社の労務環境を評価する言葉は、就職・転職活動などの際に、企業を選択する要因の1つとして定着しはじめています。

より良い働き手の確保のためにも、管理職・マネージャーには「働き方改革への取り組み」がもとめられてくる事でしょう。ここでは具体的に働き方改革を推進するためのポイントについてご紹介します。

働き方改革の「目的」について理解を深める

働き方改革への取り組み、というと、目先の残業時間の削減にばかりとらわれた取り組みを思い浮かべがちです。

しかし、「残業はしないで早く帰りなさい」という言葉のみでは、働き方改革の推進どころか、現場のモチベーションの低下や不満を助長させる可能性もあります。なぜなら、「働き方改革の問題点」の項でも述べた通り、「労働時間が減ったところで、任される仕事が減るわけではない」からです。本当に見極めなくてはならないのは、どのスタッフ・部署が残業時間が多いか、という事ではなく「なぜ残業をしなくてはならない状況に陥っているのか」という事です。

働き方改革の目的は、単純に労働時間の短縮や仕事の自由度を高める事ではありません。社会全体で「ワークライフバランス」を見直し、生産性を高めていく事が真の目的です。それは規模が「社会全体」から「各企業」になっても同じこと。まずは管理職やマネージャーが働き方改革について適切に理解し、対策を講じていくことが必要です。

働き方改革の他社事例を知っておく

働き方改革に取り組むにあたっては、すでに取り組んでいる他社の事例を参考にしましょう。

トヨタ自動車は、働き方改革に2015年頃から先進的に取り組んでおり、工場従業員の賃金体系の見直しから、在宅勤務制度の新設、事業所内託児所や勤務時間の変更・短縮などの仕事と育児の両立支援など、多岐にわたる取り組みを行っています。多様な働き方の導入が求められている企業で、特に参考になるのではないでしょうか。

また、退社してから次に出社するまでに一定の休息時間を保証する「勤務時間インターバル」は、導入する中小企業に補助金が支給されることになり、注目度が高まっています。最近では日立製作所が導入に向けて労使交渉で合意し、2018年10月からの導入を目指して制度設計を行っています。

また、花王では生産性の高い働き方の実現に向けて、1時間単位でとれる休暇を導入しています。「半日の休暇を取っても、用事は数時間以内で終わることが多い」という社員の声から実現したそうです。家族の介護や子育てなどで「少しだけ仕事を抜けたい」と思う事は誰しもあるはず。1日や半日という単位での休暇だと業務の兼ね合いなどで躊躇ってしまう事もありそうですが、1時間単位での休暇なら気軽に取得する事ができそうですね。

自組織、自チームに合った働き方改革の実施を

働き方改革への取り組みが社会的に評価され、自社のアピールポイントとなることが多くなってきていますが、肝心なのは自組織や自チームに合った取り組みを行う事です。近年話題になっているテレワークも、組織内でのニーズがないのに導入したところで、設備を整えた分が宝の持ち腐れになってしまいます。

自分の組織やチームがどのような課題を抱えているかしっかり把握し、それにあった取り組みを行いましょう。

組織にはさまざまな働き方を望む人がいますので、従来のような一律管理型のマネジメントでは対応しきれません。社員それぞれの個性を活かし、自主的・自律的な働き方を進めるためには、まずスタッフ一人一人としっかり向き合って特徴を把握ししょう。一人一人が組織の中でどんな風に活躍してもらう事が一番実力を発揮できるのかを見極める事で、自ずと取り組みの方向性が見えてくるはずです。

まとめ:上辺だけに惑わされず、本質に目を向けて

働き方改革は、これからの私たちが経済的にも文化的にも豊かな生活を続けていくために、大切な取り組みです。

印象的な単語や表面的な取り組みに惑わされず。社会のなかの一人一人がその本当の意味や目的を理解し、自分ごととして取り組んでいかなくてはなりません。その中でも管理職やマネージャーは実際の改革を進める上で大きな役割を担っています。

取り組み次第では、組織全体の評価の向上につながり、ひいては自分自身の労務環境の改善につなげる事も可能です。ただでさえ負担の大きい管理職やマネージャーですが、新たな取り組みをチャンスと捉え、楽しみながら取り組んでいってみてはいかがでしょうか。

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