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透析患者さんのリズムを知って透析にならないようにするポイント

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「透析」という治療をご存知でしょうか?
透析は機能が低下したあなたの腎臓の代わりをする治療です。

慢性腎不全になると透析が始まるのですが、1歩手前にCKD(慢性腎臓病)という状態があります。歯周病と一緒で1度悪くなるともとには戻りませんが、症状を理解した健康管理を行うことでCKDの状態なら病気の進行を遅らせることができます。

先に「透析」をどのようなものかを学んで、「透析」にならないように備えましょう。

透析患者さんの生活について

透析が始まると、週7日の内の3日、あなたの生活リズムに透析施設に通うことが加わります。
それも、月水金もしくは火木土のほぼ1日おきにあります。

透析施設にもよりますが、1日3クールの内のどれか、例えば、午前8時から12時くらいまでの4時間など、その月水金だと曜日は治療を死ぬまで受け続けます。

午前8時くらいからといっても少し早めに来てねと言われるので、もしくはその施設までの送迎の時間によってあなたの自由時間はかなり制限されます。
終わりも、4時間たったからすぐに帰れるわけではなく、止血等ありますので送迎を利用しない場合でも追加で30分程はかかります。

ちなみにそもそも腎機能が低下し、体内の有毒物質が対外に放出されない場合(尿毒症になるということ)の無治療での3か月後の生存率はゼロ、というデーターもあります。
尿がほぼ出ていない方の場合、有毒物質だけでなく水分も貯留されるので、月曜に透析を行ってから少なくても2㎏前後は体重が増えた状態で水曜来院されます。
透析が嫌だと放置されると、心機能にもダイレクトに影響します、すなわち始めてから辞めるという選択肢を取るということは死に直結します。

それでも、嫌だという患者さんは多いです。

死ぬまで続く治療について気になるのはお金の話です。
日本には今では超優秀な健康保険がありますが、それまではその日本でも金持ちが田や畑を売って寿命を延ばす高額な治療でした。

保険適用がなければ資金力がないと生きていけない病気です、尿毒症の生存率の話は上記の通りです。現在は自己負担数万円で治療を受けられる方も多く、何十年も透析で生きている方も多いです。
透析は、根治治療ではなく延命治療だということです。
他の選択肢として腎移植などもありますがドナーなどの関係から、日本ではほとんどの慢性腎不全の方が血液透析の治療を行っています。

透析が嫌な理由

まず一番大きなところは、検診よりも太い針を2本刺すのが治療に必須だということです。
おおよそ、16G(ゲージ)から17Gの針を使います。

シャントと呼ばれる、動脈と静脈をつなぎ血流量を確保した太い血管に1本、静脈に1本計2本穿刺(せんし:針を刺すこと)を行います。

このシャントは、透析導入が決まると早めにオペをしてしまうことが多いです。
このシャントが育ってくると血管が太く血流を安定して取れるようになります。
1本はA側といい、血液を採ってくる側です。そこから回路に血液を引き込みます。
もう一本はV側といい、ダイアライザーというものを通して綺麗な血液にしたものを体に戻す側です。

その他、治療中は、ベッドでできるだけ針を刺した腕を動かさないようにしなければいけません。
万一針が抜けると、大量に出血してしまいます。対応が遅れると命にかかわります。
寝ていて腰が痛いという方も大勢います。

また、4時間ただ寝ているだけではなく、増えた水分や有害物質の除去を行っている為かなり疲れます。
血圧が下がったり、その日の疲れで透析日はぐったりしている、という方も多いです。
笑いごとではありませんが、あなたの体重はその4時間で(増やして来院された分や患者さんにもよりますが)2㎏から4㎏くらい減ります。
短時間でそのくらい変われば、かなり体にも負担がくるのは想像できるところではないでしょうか。

それから、かなり強めの食事制限があります。
食べるものや、治療法にも気遣うことが必要です。適切にエネルギー(カロリー)を取りつつ、蛋白質や水分、塩分、カリウム、リンを控えなくてはなりません。
病院に行った時だけではなく、普段の生活からガラッと変える必要があります。

変えられなくて、透析日のたびに看護師さんが困ってあなたに水分を気を付けるように、とか食事の内容を細かく聞いてきたきたりなどかなり厳しめに言ってくることがあってイライラされる方もいますが、医療スタッフはアドバイスはできてもあなたを拘束してこういうことをしてはダメ、というように禁止することはできません。

アドバイスはあなたの寿命に直結するので、食事制限も来院して4時間ベッドで寝るという生活習慣も、守って他に苦痛を紛らわせる何かしらの楽しみを見つけるしかありません。
中途半端には透析を辞めることはできないので、嫌だという思いを変える努力をしないとそれが死ぬまで続きます。

とは言っても、透析中はテレビを見ることも、本を読んだりすることも、スマホやノートパソコンを使うことも(これは病院によるのですが)できます。
上手く時間を使えば少しは気も紛らわせるかもしれません。

ちなみに、死ぬまでとはいっても健康管理に気をつければ健康寿命の半分くらいまでは生きられるようですし30年透析をやっていますという患者さんも元気に通院されています。透析医療も日々進歩していますので今後もっと長生きされる方が増えてくると思います。

夜間やオーバーナイトで実施している透析施設もありますのでお仕事をしながら、あるいは終わった後通院されている方もいます。
それから、旅行も行ってらっしゃる方多いです。
旅行透析といって、その旅行に行っている間受け入れてくれる旅行先の透析施設もあるので、行った先の透析施設にあらかじめ連絡を入れておくという形になります。

具体的にどんなことをしているのか

来院されると、必ず体重測定を行います。
ドライウエイトといって、体内に過剰な水分がない状況の体重を医師が決めますのでそのドライウエイトと照らし合わせて余分な水分量を透析で除去するというものです。
測定体重から、ドライウエイトを引いたものがおおよそ今回1回来院分の除水量になります(それが先ほどの2㎏前後から、というところです)。

あなたはベッドに案内され(大抵自分のベッドはすでに決まっています)準備をして寝てまっていると、穿刺が始まります。ペンレステープなのの痛み軽減のテープもありますが、90分前くらいに貼っておかないと効果がないので初回はびっくりするくらい痛いと思います。
ですが、初回はドクター穿刺と言って看護師ではなく上手な先生(医師)が刺してくれることが多いです。
2本太い針を刺したら、針先をチューブにつなぎます。透析の機械(コンソール)に、透析回路がついていてそれに接続します。

条件を設定したら、透析が始まりますのであとはコンソール上のタイマーがゼロになるまであなたは寝ているだけです。
本を読んだりテレビみるのも自由です。
だいたい1時間に1回、スタッフが血圧測定にくるので、寝ていても起こされてしまうかもしれませんが安全の為です。
4時間(透析導入の最初は3時間など短めにして慣らします)終わったら、針を抜いて止血して終了です。
終わったら、また体重測定をします。
これの繰り返しです。

月水金の方だと、金曜日の次は月曜日ですから土日は透析がお休みになります。2日あくので中2日と言いますが、その時は特に増えが体重の5%位におさえられるように水分管理も大切です。
ちなみに、増えた分全部引くとあなたの血圧が下がりすぎて意識が飛んでしまうこともあるので、どうしても引けない分は次回に持ち越しになります。

透析でできることとできないこと

透析はいわば腎臓の変わりです。
あなたの腎機能が正常の10%以下になると大抵透析導入になっています。
とはいっても、腎機能というものは健康な人でも高齢になるとパーセンテージが下がっているので不摂生な人はそもそも問題ですがそうでない人も導入する可能性は全ての人にあります。

腎臓はなにをしているかというと、尿毒素の除去、水分の除去、電解質の調整、酸塩基平衡、ビタミンDの活性化、エリスロポエチンをつくると、血圧の調整をしています。
その中で、透析ではできない部分もあり、治療だけ(=4時間あなたが寝ているだけ)では不足であったり補えない部分がどうしてもあります。
そこで、薬物療法や食事管理なども同時に行う必要があり、先ほどの看護師さんのアドバイスなどもあるわけです。

機械(コンソール)は、あなたの血管の中の水分を掃除機のように吸い取ります。ポンプで陰圧をかけて引いている状態です。
その4時間の除水スピードをコントロールします。
そして、真ん中の細長い棒(ダイアライザー)を通ってV側(血液を返す側)へという流れです。

このダイアライザーはたくさんの糸が張ってある形状でその糸の中を血液が通り糸の外側には透析液と呼ばれる液で満たされていてその濃度差と水分を引っ張る圧力差で余分な水分と尿毒素、余分な物質を除去して、欲しい物質を入れるというものです。
この糸にも細かい穴が開いていて、その穴で物質のやり取りを行っています。
血液の中の必要な成分は抜けないように、また細菌などが中に入ってこないようになっています。このダイアライザーも穴の大きさや膜面積が違うものが各社から出されていて、その患者さん毎に合うダイアライザーを医師を中心に決めています。

ダイアライザーにも、素材や大きさがあります。
また、現在は3割くらいの方がOHDFを行っています。普通のHDに加えて補液をしながら水分を引くことで血圧動態がよくなったりします。

OHDFをできるかどうかは施設の水質管理基準にもよるので、あなた自身がOHDFできるか、という問題と、施設の課題もあります。つまりOHDFをやっている施設で透析治療すれば、あなたもOHDFで透析ができる可能性が高くなるということです。
また、各種アラームで正常に進行していない時は知らせてくれます。血液を返す(V)針の先で血液の塊がついてしまっていたりするとV圧が高くなったり針が抜けてしまう圧が下がりアラームがなったり、4時間寝ていてうるさいと思う方もいますがこれも危険を知らせてくれるものなので分かった頂けたらと思います。

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