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訪問看護師には何が必要なのか?病棟看護師との違い

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在宅医療への移行が叫ばれている中、訪問看護師に求められる比率が多くなってきました。

療養者は、訪問看護師に何を求めているのでしょうか。

訪問看護師とは

訪問看護師とは、在宅療養中の利用者の元へ出向き、医療行為や援助を行う看護師のことです。

主に訪問看護ステーションに常駐しており、利用者の元へ週1〜3回訪問をしています。
訪問看護師になるのに特別な経験は必要ありませんが、病棟で年数を積んできた人が望ましいです。

なぜなら、在宅看護は病棟と違って基本的には1人で医療行為を行わなければなりません。
そのため、分からないことが出た時に尋ねる看護師が側にいないので、1人で全てを行う技術が必要だからです。

しかし近年では、新人の訪問看護師を育成するステーションも増加しているので、新人にも門戸が広がっている領域です。

訪問看護師の勤務体制は、基本的には平日の日勤で、ステーションによっては24時間のオンコール体制をとっている職場もあります。

夜勤がないため、子どもを持つ看護師が多く勤務していることも特徴です。

また、訪問がない時間はステーション内で訪問記録を入力したり、医院との連携を行うので、病棟よりもステーション内での仕事の比率も高くなります。

年齢層はやや高めで、30〜50代の看護師が多く勤務しています。

病棟看護師との違い

訪問看護師と病棟看護師は、同じ職業でありながら180度仕事内容が違うと言っても過言ではありません。

結論から言うと、病棟看護師は病院内の規則に沿った仕事をする反面、訪問看護師は訪問先のお宅のルールに沿って仕事をする点です。

具体的には、その家のルールに従った医療行為や援助を行うことです。

あくまでも利用者の生活の場は在宅なので、自分たちのルールで行動をすることは好ましくありません。

また、訪問看護の利用者は多いステーションで130人程いるので、130通りのルールがあります。

訪問先のお宅も、三世代以上の大家族から独居の人まで多種多様なので、利用者一人一人に沿ったケアが求められます。

病棟から訪問看護に異動した看護師には、お宅のルールに沿ったケアをすることが難しく感じられるそうです。

常に視野を広く持ち、利用者のニーズに応えることが訪問看護師の特徴です。

訪問看護師に求められていること

在宅療養者が訪問看護師に求めていることは、在宅で安心して暮らせることです。
訪問看護の利用者の中には様々な人がいます。

医療行為を必要としている人、終末期で自宅で死を迎えたい人、障害を持っている子ども、認知症の高齢者、独居で生活支援のために利用している人など、言い出したら切りがありません。

しかし、いずれの人にも共通しているのは、「在宅で安心して暮らしたい」というものです。

特に高齢者にとって、現代では住む場所を選ぶ仕組みが整い始めています。

住み慣れた自宅、施設、療養型の病院など、選択肢はいくらでもある中で、訪問看護の利用者は自宅で過ごしたい人がほとんどです。

また、それを可能にしているのが訪問看護師なのです。

訪問看護師が訪問してくれるだけで、自宅で医療行為を受けながら暮らしていける人がいます。

昔であれば家で医療行為をすることは考えられませんでした。
しかし、訪問看護師がそれを可能にしています。

このような人にとって、訪問看護師の存在はとてもありがたいものになっています。
また、独居の高齢者にとっては、訪問看護師が入ることで本人だけでなく離れて暮らす家族も安心することが出来ます。

独居の高齢者のなかには、様々な事情があって一人暮らしをしている人が少なくありません。

今後は独居の割合が現在よりも高くなることが予想されるので、訪問看護のニーズも高まると考えられます。

医療行為は必要なくても、ただ話し相手になることを求められている場合もあるので、本当に人それぞれです。

訪問看護師に向いている人

訪問看護を受ける利用者は、多種多様なニーズを持っています。

そのため、多様な価値観を共有することの出来る人がこの仕事には向いていると考えます。

利用者の生活背景は人によって異なるので、それを尊重しながら付き合っていくことが求められます。

訪問看護師の中に、偏見の気持ちがあったら仕事が成り立ちません。
そうなると、利用者に失礼なことを言ってしまう可能性があります。

訪問看護を行う上で必要なのは、「人は自分とは異なる考え方を持つ」という意識を持つことです。

人はそれぞれ異なる家族と生活環境で育ちます。

生まれ育った生活環境を当たり前だと思ってしまうと、自分とは異なる環境で育った人を受け入れづらくなってしまうのです。

しかし、訪問看護の現場ではそれは通用しません。

自分と異なる価値観があって当たり前と認識しておかないと、利用者と意見がすれ違ってしまうことが後を絶たないのです。

初めて訪問看護師になる人が一番最初につまづくのはそこだと思います。

余談ですが、比較的家族関係が良好であるほど、人の闇に気づくことは難しい傾向にあります。

その人たちは、自分の目線で物事を考えてしまいがちです。

そのため、家庭環境が複雑な利用者に当たった場合、しばし気持ちのすれ違いを引き起こしてしまったというケースがありました。

「家族はいろんな形があって当たり前」という意識づけをすることで、利用者との接し方が変わると考えます。

介護事務経験者から見た訪問看護の世界

最後に筆者の経験談をご紹介させていただきます。

筆者は以前、訪問看護ステーションで介護事務の仕事を行なっていました。

訪問看護の世界は全くの未知数でしたが、一緒に働かせてもらう中で、いかにこの仕事が今後必要になっていくかを実感しました。

まず、病棟の入院日数が短期化しているため、今後は在宅療養をしながら通院治療を受けることが主流になると考えます。

そのような場合、訪問看護師の存在がより必要不可欠になるので需要が高くなります。
今は病棟看護師の方が圧倒的に多いですが、近い将来は訪問看護師の人数が増加するのではないでしょうか。

また、訪問看護師は意外にもステーションに常駐している時間が長いです。

医師との連携をしたり、月末には訪問看護報告書、計画書を提出しなければならないので、書類作成にかける時間が多く、病棟よりも事務的な仕事をこなさなければなりません。

その意味では、病棟とは全く仕事内容が異なると考えます。

24時間オンコール体制を取っているので、利用者からの訪問依頼があれば深夜でも訪問に行かなければならず、特に夜の訪問が続いた場合は体力が絞られる職業です。

また、利用者の看取りが2件続いたこともありました。

見取りの場面はただでさえ精神的にも気を遣う必要があると思いますが、不安な表情を家族に見せないように淡々と仕事をこなす義務があるので、精神的にも強くないとやっていかれない職業だと思いました。

しかし、病棟看護師よりも独自性が高く、みなさん活き活きと働いている姿も見られました。

利用者の問題を解決するためにたくさんの時間を費やしてカンファレンスをし、上手くいった時にはステーション全員で励まし合う姿が恒例で、看護師の仕事の素晴らしさを感じていました。

筆者は事務員として働いていましたが、人生の中でも最も貴重な良い仕事だったと思います。

まとめ

訪問看護師は、利用者一人一人のニーズに沿ったケアが求められています。

正解はありませんが、やりがいのある仕事です。

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