ビジネスでもプライベートでも「あれ、私の言ったこと、イマイチ伝わってないかも」と思ったことはないでしょうか。
自分だけはなぜか答えが見えていて、一生懸命に話しているつもりなのに、相手にはなぜか伝わらない。非常にもどかしいし、もったいないですよね。もっと効果的に相手に伝える方法はないだろうかと悩む人もいるでしょう。
そんな人のために、ここでは、相手に「伝える」ということをテーマに、ロジカルに考え、伝えるときに気をつけるべきことを4個、お伝えしたいと思います。
≪自分しか見えない病に罹っていない?≫
相手に自分の考え方を伝え、相手に「分かった」と言ってもらうとか、あるいは相手から何らかのアドバイスをもらい、自分の考えをさらに高度なものに作り上げていく。こうしたプロセスは業種や職種を問わず、どこにでもあるものです。そして、仕事とは他人と自分との間で情報・考え・提案を授受することの連続です。電子メールをはじめとした情報伝達技術の発達で、その授受のスピードは加速しているのが現代社会です。
しかし、以下なる情報伝達の方法を用いたとしても、問題なのはあなたが発した情報が、相手に到達した「あと」です。相手がそれを見たり聞いたり読んだりした時に、あなたの考えや提案、意図した情報がしっかりと伝わり、相手の脳内で正しく理解されるまでの時間、そして反応が返ってくるまでの時間、これらを以下に短縮できるかがビジネス現場での勝負です。この辺は、以下にメールなりソーシャルメディアなりが発達しても、結局はそこで情報発信をする人間のスキル次第なのです。
自分の言いたいこと、自分が重要だと思っている情報を相手にて企画に伝えるにはどうすればいいか?と悩むこともあるでしょう。そしてそれをうまく伝えるために提案書を書き直したりフォントに色を付けたりサイズを変えたり、ということに行きつくのです。
しかしここには、相手に伝わらない最大の要因が隠れています。大事なことは「あなたが言いたいこと」ではなく、「相手にどのように伝わるか」です。月並みな表現ですが、「相手のことを考える」です。
「相手のことを考える」の注意点
例えば、このような場合はどうでしょう。
「明日の午前中は部長と打ち合わせがある。彼は横文字が苦手だから、カタカナ表記はできるだけ避けよう。朝が弱い部長のことだから、カタカナ語が連発されるときっと激怒するだろう」
確かに相手のことを考えてはいます。しかし問題は相手が部長であることを意識しすぎるがために、打ち合わせのゴールを「穏便に終わらせる」に代わっていることにお気づきでしょうか。これでは、この打ち合わせの最後に意味のある意思決定がなされるかは覚束ないでしょう。おそらくこの打ち合わせで、「この施策はやめよう」などと言う事業場の意思決定はありません。せいぜい「様子見」がいいところで、これでは事業に関する事柄は何も前進しません。そうしてみると、そもそもこの打ち合わせはやる意味があったのか?ということになってしまいます。
≪相手に伝えるべきメッセージ≫
相手から何か問われて、いきなり「私が申し上げたいことは」から入る人も多いでしょうが、重要なことは、「あなたが答えたいこと」ではなく「あなたが答えるべきテーマについての、相手に期待されたメッセージ」なのは先述の通りです。
メッセージとは、以下の3つのポイントを押さえて成り立ちます。まず「テーマが明快であること」そして「そのテーマに対して必要な要素を満たした回答であること」最後に「そのやりとりの後に、相手にどのような反応をしてほしいのか」です。
「テーマ」「答え」「相手に期待する反応」の3点セットが、ここでいう「メッセージ」です。段落冒頭の「私が申し上げたいことは」というのは、この中の「答え」の部分です。逆の立場になって考えると、自分がある文書を読んだとき「テーマ」「答え」「自分に求められるもの」が分かる内容であるかどうかが重要で、この3点を満たしたものがメッセージです。
≪メッセージの要素① テーマ設定≫
まず、そのやりとりの中で自分が答えるべきテーマは何かを確認します。それは10分間の説明でも1時間の商談でも同じです。報告書や提案書、企画書でも同じです。「自分が今、相手に対して答えるべきテーマは何か」と自問自答します。あなたの考えがどれだけステキなものであっても、テーマがずれていては相手の検討の対象にもなりません。
ビジネスの現場で、そもそもの課題を誤って認識していたという事故は稀にしか発生しないでしょう。誰もが最初は正しいテーマを認識して作業を進めていきます。しかし作業が続いていくうちに、新たな発見やそれまで見えていなかった課題が浮上して注意が奪われ、いつの間にか自分の脳内でテーマがすり替わってしまうのです。気合が入るとよく起こりえます。
例えば「A案件の事業化に取り組むべきだ」という仮説に対して答えを出すべく検討をしていたとしましょう。すると、A案件は事業かはおろか、すでに事業化の前提となる既存の店舗網に重大な問題があることが判明しました。しかも自体は緊急を要します。すると、問題の重大さゆえにあなたの脳内は「既存の店舗網が抱える重大な問題をどのように解決するか」にすり替わってしまうのです。
たとえこの問題認識が正しくて、優先的に議論する必要があったとしても、A案件の事業化のために集まったメンバーに対して、「今回は問題の重大さを考慮し、既存の店舗網の現状と課題の解決について議論します」といきなり切り出したらどのような反応が来るでしょう。せめて、テーマが変わったこと、なぜそうする必要があるのかを明示しないと、せっかく提案しても「それは本質的な問題ではないのでは?」とメンバーは思ってしまいます。
文書を書く前、人に説明を始める前に「今回のテーマは何だっけ?」とテーマを確認する習慣を身につけるといいでしょう。いくら自分が「これは重要だ」と思って書いても、相手がそれを重要だと思わない限り、議論の対象にもなりません。
これはB2B、B2Cともによくある話で、営業マンがお客様からひとしきりヒアリングを済ませた後で、お客様が抱えている問題・課題を勝手に推測して商品や自社サービスを提案していくという現象は非常に多くあります。ここまで読んでいただいた方はお気づきだと思いますが、お客様と営業マンとで問題認識が一致していないと、商談は成功しません。無形商材やサービスであればなおさらです。だから提案の前に、「問題・課題・テーマはコレですね!」と握る必要があります。その上で、この営業マンは「この問題に対して私たちが提案するのは○○です」といって商品や自社サービスのプレゼンテーションを開始すればいいのです。
≪メッセージの要素② 相手に期待する反応≫
会議や文書において自分の主張を伝えるとき、相手からどのような反応を引き出したいでしょうか。このような期待成果のないやりとりを「独白」といいます。独白は「なんて言えばいいっ!」というツッコミが来そうですね。また、そんな独白に付き合わされた人は「なんて日だっ!」と絶叫しそうですね。
ビジネス現場において、相手に何かを伝えること自体が目的になるケースは稀でしょう。伝えることで相手に理解を促したいのか、意見や行動を引き出したりするなど、何らかの「反応」をしてもらうことが目的になるはずです。伝えること自体は手段で、目的ではないのです。
例えば上司と打ち合わせをするとしましょう。自分が説明することで頭がいっぱいな状況になる人と、打ち合わせの最後に、「君が言う対策①②③の中では、③がいいと思う。関係者に打診してみてはどうか」という上司自身の考えや次の指示を引き出そうと思って打ち合わせに臨む人とでは、同じ時間を過ごしても打ち合わせの効果は全く異なるでしょう。また、お客様に自社サービスの提案をしたい営業マンにしても同じで、とにかく話すことで精一杯になる営業マンと、お客様から「うちの会社にはどのようなサービスをしてくれるの?」という反応を引き出そうと思ってトークを展開する営業マンとでは、その商談の成果は全く異なったものになるでしょう。前者の営業マンなら、次回アポは取れないかもしれませんね。
こういう話を出すと、営業マンの中には「営業は売り上げを上げることが重要で、いちいち反応など確認しない」ということをおっしゃる方もいます。一面では正しいことなのかもしれませんが、特に無形商材の営業においては、お客様の反応を無視したセールスは、あまり満足度が上がらないのが実態です。だから多くの場合は、初回の商談で「へぇ、こんなサービスを始めたんだね」と関心を持ってもらい、2回目には自社と競合他社で何が違うのかを理解してもらい、3回目に強力に動機付けをし、4回目に受注というようなプランを練っていくはずです。このように、最終的には受注をすることがゴールであっても、それぞれのやりとりの中に、相手に期待する反応があって(小ゴールのようなもの)、それを達成しながら進めていくのです。
ビジネス現場で相手に期待する反応は、次の3点だと思っていいでしょう。即ち、「理解してもらう」「意見や助言・フィードバックをもらう」「行動してもらう」の3点セットです。
≪まとめ≫
「自分がこれから話すことは、相手が求めるテーマに合うだろうか」と一回立ち止まって応えることが重要だったのですね。現実には「○○についてお答えすればいいでしょうか」とか、最後に「これで応えになっているでしょうか」などと確認しながら進めていきましょう。
同じテーマであっても、自分の伝える内容を相手に「理解してもらえば」いいのか、それとも意見や助言をもらえばいいのか、はたまた別のアクションを起こしてほしいのかというように、相手に期待する反応を事前に定めることによって、答えとして伝えるべき事柄に変化が出ることは、想像に難くありませんね。
ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。
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