ビジネスの現場において、他人に分かりやすく伝えるというのは非常に重要なことですよね。特に「伝える」という行為より、「伝わった」という結果が大事な場面は非常に多いです。
にもかかわらず、こちらが一生懸命に話しているのに、相手は「?」という顔をしている、なんてことはどこの職場にもある光景です。
今回は、相手に「?」とさせないためのコツをお伝えしたいと思います。
目次
≪話の飛躍をなくす≫
自分が伝えたいことの結論を伝えるときに、私たちは自然と「よって」「したがって」という表現を使います。その際に「よって」や「したがって」の前後が常識的な思考回路で考えてみてもつながらないと、聞き手は「話が飛躍している」とか「辻褄が合わない」と感じてしまいます。
「よって」「したがって」の前後で話しの飛躍がなく、自分が伝えたいことの結論と根拠、結論と方法のつながりを、相手にすんなりと理解してもらえることが重要なのは言うまでもありませんが、それを実現するための技術が”So what? / Why so?”です。
≪話の飛躍をなくす So what? / Why so?≫
So what? とは、手持ちの情報や材料の中から「結局どういうことなの?」を抽出する作業です。言い換えれば、「よって」「したがって」の前に述べた情報やネタの中から、自分が回答を出すべきテーマに照らして重要なエッセンスを抽出するということです。「よって」「したがって」の後に出てくることがらは、前にある情報をSo what? したものです。
大事なことは、So what? したものに対して「なぜそういうことが言えるのか?」と質問を投げかけたとき、手持ちの情報、用意された材料で過不足なく説明できなければならないということです。
この「なぜそのようなことが言えるのか」「具体的にはどういうことか」と検証確認をすることがWhy so? です。
つまり、根拠を先に出して結論を後に出すのがSo what? で、結論を先に出して根拠を後に出すのがWhy so? です。どちらが先の方がいいかということではなく、重要なことはSo what?とWhy so?は背中合わせの関係だということです。結論と根拠・結論と方法・あるいは根拠や方法の中にいくつかのレベルがあるとすると、そのレベルの間の関係をこのような背中合わせの関係にするわけです。
≪So what? / Why so? する習慣を身につける≫
So what?とWhy so? は、完全に頭の中での作業で、何かを覚えればできるというものではありません。
この技術を使いこなすには、日頃から「要するにこの情報から何が言えるのだろう?」「この話で重要なことは何だろう?」と考える癖をつけることが重要です。
「クライアントから電話がありまして・・・」と延々と続く部下の話に、「要するにクライアントはなんて言っていたの?」と質問をした経験がある方も多いでしょう。要するに、と聞かれて絶句してしまう部下も困りものですが、もっと質が悪いのは、「要するに」をまとめた中身が間違っている場合です。
「要するに○○ということです」というので、それを信じてクライアントに対応をすると、どうも話がかみ合わない。よく確認してみると、部下の言った「要するに」がずれているという場面です。
So what?で確認したら、必ずWhy so?で検算をすること。これはビジネス上でも非常に重要な習慣です。
また「部下の飲み込みが悪い」「部下が分かってくれない」と嘆く中間管理職も多いですが、こうした人に限って、上司から言われたことをそのまま部下に伝えるだけで、自分の言葉でSo what?できていないとか、Why so?が内容な指示を飛ばしていることはよくある話です。
組織の中で情報の結節点に身を置く中間管理職のSo what?とWhy so?の能力は、組織全体のコミュニケーション能力を大きく左右します。
飲み込みが早い人の多くは、ものを読んだり聞いたりしたときに、それが要するにどういうことなのか、大事なポイントを素早く的確に抽出できる人であり、So what?能力が高いということができるでしょう。
新聞や雑誌を読むときは、So what?/Why so?の良い練習機会です。是非So what? / Why so?を意識して読んでもらいたいところです。
≪2種類のSo what? / Why so?≫
実はSo what?/Why so?には2種類あります。そこのある事象や事実のポイントを的確に説明する「観察型」と、それらの事象や事実を踏まえ、そこにある共通項や理屈を見出す「洞察型」です。
観察のSo what?/Why so?
話の飛躍の原因は、自分が思ってもないような小さなところに潜んでいます。図表やグラフなどで表されているデータであれ、記事や社内文書などの文書化された情報であれ、「要するにここから何が言えるのだろう?」ということを誰もが同じように読み取っているか?というと、必ずしもそうではありません。
人間は誰しも、自分の関心事や日頃慣れ親しんでいる文脈に従って物事を理解しようとします。ある情報が示す事実を、相手も同じように観察しているとは限りません。わざわざSo what?/Why so?しなくても「見ればわかる」と思っているところに落とし穴があります。
企業の事業計画などを見ると、多くのデータはタイトルがついていれば上出来です。そのデータから読み手に何を読み取らせたいのか、So what?/Why so?が明確に示されているものは意外に少ないものです。
最近では、わかりやすくするために文章を減らし、図表を多様化する企業は増えています。
しかし、誰が見ても同じように理解できる図表を作り、同じように読み取らせるコミュニケーションは、文章を読ませるよりも高度なものです。またビジネスにおいて、議論がかみ合わないということもたびたび発生します。事実認識は全く同じであり、よって立つ論が違うということであれば、大いに議論する意味があります。しかし残念ながら、同じ事実を見ながら認識がずれているというケースが非常に多いのです。まずは事実を正確に観察し、その観察の結果を相手にも同じように理解できるように明示することが、話の飛躍を防ぐ第一歩です。
観察のSo what?は、提示した事実を全体集合として、そこから言えることを要約する作業で、Why so?は要約された観察結果を要素分解して検証する作業です。
洞察のSo what?/Why so?
洞察のSo what?/Why so?は、ある状況を示す複数のデータの中から、そこに存在するであろう一定のルールや法則性を導き出したり、自社として取るべきアクションや自社にとっての影響を考えるというように、ある情報から、それとは種類の違う情報を引き出す作業です。
また、特定の課題を設定し、観察のSo what?/Why so?を見てみると、課題の答えに対する仮説が見えてくることがあります。仮説を作るという作業も、事実を示す情報から業界の構造や自社のやるべきことなど、事実とは種類の違う考えや判断を引き出すものであり、洞察のSo what?/Why so?の1つです。
これに対し、観察のSo what?/Why so?は、状況を示すデータから、要するにどのような状況なのかという要点を、またやるべきアクションの説明から、要するにどのようなアクションをすべきなのか、という要点を抽出するものです。つまり、状況なら状況、アクションならアクションという具合に、同じ種類の情報の中から要点を抽出する作業なのです。ここが、洞察のSo what?/Why so?と観察のSo what?/Why so?の違いです。
では、洞察のSo what?にWhy so?と尋ねた場合、答えの材料にはどのようなものがあるでしょうか。当然ながら観察のSo what?/Why so?はその1つです。しかしそれだけではありません。誰もが共通して妥当だと認める常識や公理、あるいは自分と受け手が共通認識を持っている事柄や前提条件(企業理念や事業の前提条件など)、さらには論理的に正しいことが証明できる概念なども、洞察のSo what?に対するWhy so?の答えになる材料として使えます。
≪洞察のSo what?は、観察のSo what?ができることが前提条件≫
「事実は事実として、私は将来的にはこうなると思うんですよねー」と将来のシナリオを話されると、その人には、他人には見えない何かが見えているようで、洞察のSo what?の方が、観察のSo what?よりも価値があるものと思われがちです。しかし、これは重大な事実誤認です。
様々な企業のコミュニケーションの実態に触れると、事実を正しく認識し、正しくSo what?ができる人は思いの外少ないものです。
観察のSo what?/Why so?を人に伝えようとすれば、最終的には話すなり書くなりして文字情報に経関する必要があります。それを相手が読んだり聞いたりしたときに、自分が考えた内容と同じように理解できるように書いたり話したりできる話し手は、正直にいえば少ないものです。
特に、1つの業務の経験、業界の経験が長ければ長いほど、それまでの経験や思い込みが強くなり、事実を観察してWhy so?に耐えうるSo what?を導き出すことができないくなります。
確かに、誰も考えていなかったような突飛なアイディアは注目を集めますし、クリエイティブにも見えます。ですが、多大なリスクやコストが伴う場合、単なる突飛なアイディアを本当に相手に納得させられるかは別の問題です。重要なのは、一見して突飛に見えるアイディアを、話の飛躍なくわかりやすく説明できること、言い換えれば、相手のWhy so?に耐えられることなのです。そのときWhy so?の答えが「あくまで私見ですが」とか「仮に○○という事情があるとして」という家庭を置かなければならないものだったり、世の中の8割の人が常識的に考えて納得できないことだったら、相手を説得することはできないでしょう。
優れたコミュニケーターとは、誰も思いつかないような斬新なアイディアを、誰もが理解できるように説明できる人を言います。それは、正確な観察のSo what?/Why so?の上に、もれなくダブりなく全体像を俯瞰し、洞察のSo what?/Why so?ができる人のことを言います。
≪まとめ≫
So what?/Why so?は非常に役に立つ技術ではあるのですが、特に上司の人は、実際に聞き手としてトークの中で実践するときには注意しましょう。
So what?は直訳すれば「だから何?」ですし、Why so?は「なんでそうなるの?」です。円滑な人間関係を保ちながらSo what?するには、「つまり、君が言いたいのはこういうことか?」と聞いてあげてもいいでしょう。
ある意味助け舟を出すことになりますが、最初のうちはそうしたトレーニングが必要でもあります。また、Why so?にしても、聞き手の「なんで?」という表現は、無意識のうちに「違うだろ」という否定の意味を包含しますので、「どうしてそう思われるんですか?」とか、マイルドな言い方をするといいのではないでしょうか。
ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。
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