どうせ勉強から逃れられないのであれば、効率よく成果を出したいですよね。
そこで学習の最終段階、つまりテスト本番の直前期で重要になるのが、過去問や模擬試験との付き合い方。
ここでは、筆者の塾講師としての経験(今は保険屋ですが)から、全科目に共通した効果的な過去問の利用法をお伝えしたいと思います。
目次
≪過去問は、テスト時間の90%で終わらせる!≫
時間の許す限り、過去問の経験値を上げる!
本番の直前期は、過去問や予想問題など、演習に時間の限り取り組みます。この時期の理想は、とにかく手に入るすべての過去問を解くことです。
過去のテストで出題傾向に大きな変更があった場合には、変化後のものを中心に取り組みます。ただし、パッと見の印象が違うだけという場合もありますから、よく見て判断してください。見かけが変わっただけなら、変更前のものも取り組んでおきましょう。
当然ですが、時間的制約や入手可能な過去問にも限界があります。それでも妥協せず、手に入る過去問は全て解いておきましょう。
結果が悪くても悲観しない!自分の弱点を洗い出そう!
直前期であっても、最初のうちは過去問を解いた結果が悲惨、なんてことはよくある話です。どのようなテストでも、出題者は点数をある程度抑えるために難問・奇問を紛れ込ませるからです。直前期というのは、これまでに養った基礎力を利用して、こうした厄介な問題をつぶしていく時期でもあるのです。だから、ここでは点数は気にしないことです。
点数そのものより、「なぜ間違えたか」「どうすれば正解するか」という事後分析が大事で、次に似たような問題が出題されたときに対応できるようにしておくのが大事なのです。
例えばセクション1、セクション2などの大まかなカテゴリ(大問)において、それぞれの正答率を出しておくと、あとで振り返ったときに自分の苦手分野が分かります。その箇所を重点的に学習しなおすとか、時間の配分を変えてみるなどすれば、対策は十分です。
また、ミスした問題を振り返り、自分の間違え方と正解に至るプロセスを明確にしておけば、類題が出たときに同じ間違え方をする可能性は小さくなります。
点数にばかりこだわると、行きつく先は「神頼み」
直前期に過去問を解く場合、点数の上下ばかりを気にして分析を怠ると、自分の弱点を克服することができません。この状態で本番を迎えると、「苦手分野が出ないことを祈る」ばかりになります。苦しい時の神頼みは、もともと無理な注文です。
過去問を解いた後は、「自分がどこで何を間違えたから最終的な答えを間違えたのか」という因果関係を明らかにしましょう。その上で、ミスを回避するためには何が必要かを分析する習慣を身につけましょう。この習慣があると、たいていの場合は成功します。
本番でのタイムロスを考慮して過去問に取り組む!
直前対策で過去問や予想問題に取り組むときにやってほしいのが、制限時間の設定です。具体的にいうと、テストの制限時間の90%で終わるようにタイマーを設定します。60分のテストなら55分くらいが妥当でしょう。
テスト本番には必ずと言っていいほど、タイムロスがあります。例えば試験会場特有の緊張感、鉛筆を落としたとか、試験官の不手際、スピーカーの故障などが考えられます。練習中にこうしたタイムロスを10%ほど考慮しておけば、本番で何が起こっても大抵は切り抜けることができます。
≪補足:自分の平均タイムを知るべし≫
問題を解くのは、速すぎても遅すぎてもダメです。何度も過去問を解いていると、同じ出題形式であれば概ね解き終わる時間も似通ったものになるでしょう。
速すぎる場合、何かを雑にやっていないか、遅すぎる場合、難しく考えすぎではないか、と仮説を持って取り組んでいきましょう。マラソンのように、「○○分が経過したら、自分は今□□の問題を解いているはずだ」という相場観を持つことをおススメします。
≪基礎知識を見直して、実力の底上げを図る!≫
過去問の難問・奇問に惑わされず、基礎知識の再確認を優先する
直前期に過去問を解いていると、出題者が平均点を下げるために作った、極端に難易度の高い問題に出くわすことがあります。しかし、ここで焦ってはダメです。こうした難問・奇問は解けなくても合格できるので、安心してください。
一般的な試験というのは、7割の基礎知識を問う問題と、3割の応用問題で構成されています。そして、7割の基礎問題さえ完璧にクリアできれば、あとの3割で全滅してもその試験には合格できるのです。つまり、合格をより確実なものにするには、3割の難問に惑わされることなく、基礎問題をもう一度しっかり解きなおした方がいいということです。
ですから、過去問と予想問題に集中したくなる直前期であっても、基礎知識の復習を怠らないようにしましょう。場合によっては、過去問:基礎知識=1:1くらいの時間配分でもいいでしょう。基礎知識の復習の要諦は、以下の3点です。
- 学習初期に基礎固めに使った参考書や教科書をもう一度読み返す。
- 応用力をつける時期に解いた問題集のチェック
- 使っていた参考書や問題集のマニアックな知識にも目を通す(余裕があれば)
人間の知識は、メンテナンスをしないと劣化します。ですから、学習の最終段階に入ってもこれまでに身につけた知識はメンテナンスを続けていくことが大事なのです。
≪補足:「合格」の概念がない試験の過去問と制限時間≫
一般的な試験は、「○○点以上の得点で合格」という風に制度設計されていますが、TOEICのように「合否」ではなく、満点(990点)に近い人ほど優れている試験もあります。
こうした試験の場合、「7割の基礎問題と3割の応用問題」をそのまま適用することができません。ちなみに、TOEICの場合は過去問ではなく予想問題のような公式問題集で過去問と同じように対策を重ねます。
こうした試験の場合、「自分が狙う得点レンジ(=目標得点)」を前提に演習することが重要で、得点レンジ外の問題はすべて捨てる覚悟が必要です。基礎も応用も関係ありません。
TOEICを例にして具体的にいうと、TOEICのReadingセクションの問題は制限時間100分、配点が495点ですから、合計500点くらいを目指す初学者であれば、「半分は捨ててもいい」のです。リスニングも同様です。そして、演習中に「この問題は無理!」と判断する時間も込みで試験時間の90%を設定して演習に取り組みます。
TOEICを経験された方はご存知だと思いますが、制限時間100分は短く感じられます。「どの問題ももったいなくて捨てられない」から全問解こうとするのは、「満点を目指す戦略」以外の何物でもなく、本気で満点を狙う人以外はやるべきではないのです。
こうした考え方は、本番でだけ実践すればいいというほど簡単なものではなく、演習の段階から「一瞬でも迷ったら後回し」のクセ付けが重要です。
本番のプレッシャーは判断を鈍らせます。例えば「もう少し頑張れば解けるかもしれない」と、得点レンジ外の問題で時間を浪費し、最終的に、本当に解けたはずの問題に手を付けられなくなるのです。本番で判断を誤らないためには、「一瞬迷う=捨て」と機械的に選択できるよう演習段階から訓練しておくことです。
≪模擬試験は車検のようなもの!≫
模擬試験は早期のうちから定期的に受けよう!
模擬試験は、できるだけ定期的に受けましょう。大学受験であれば、1か月に1回程度が理想で、最低でも2か月に1回くらいは受けておきましょう。
模擬試験のメリットは、大きく2個あります。
1つは、自分の不足している部分の発見ができること。間違えたり自信がなかった個所は、現在の自分にとって不足している部分または苦手部分です。試験本番までにそうした部分や分野を重点的に復習して克服すれば、合格はより近づきます。
2つ目は、模擬試験の段階で失敗できることです。本番の試験で失敗することは許されません。模擬試験は本番のシミュレーションですから、模擬試験を重ねれば、本番で失敗する可能性は小さくなってきます。
結果をチェックすれば、弱点を早期に発見できる!
成績がなかなか伸びない人のパターンとして、「模擬試験の結果を見直さない」ことが挙げられます。結果が悪いときはなおさら、見直したくない気持ちは理解できます。しかし過去問と同じく、そのままにしておくと自分の弱点を克服できません。
模擬試験は車検のようなもので、故障している箇所が分かればすぐに対策を打てます。「悪いところが早く発見できてよかった!これで事故を起こさずに済む」という気持ちになれるわけです。試験本番で事故を起こしては、それまでの努力が水の泡ですからね。
模擬試験の結果というのは、合否通知ではありません。弱点を早期に発見してくれるチェックツールです。現実を見つめて弱点を補強しておきましょう。
≪補足:試験の勉強は弱点の補強が近道!≫
試験のための勉強と、ビジネスのための勉強で決定的に違うのは、注力するポイントです。ビジネスのための勉強は、自分の強みを最大限に伸ばすことに注力します。弱点は誰かに補ってもらえばいいのです。
プロの世界では上には上がいますから、苦手分野を人並みにできるようにしたところでお金にはなりません。だから、他人より1ミリでも優れている部分を徹底的に磨き上げるのです。
これに対して試験のための勉強というのは、どれだけ得意分野を伸ばしても満点以上には伸びません。最初から95%できる分野を100%にするくらいなら、50%しかできない分野を70%にする方が時間効率はよく、得点の伸びしろも大きいのです。
ここまでのお話で、弱点の補強とかミスした問題の復習などにたくさん触れてきてのも、苦手分野の克服こそが合格の要諦だからです。
まとめ
ここまでで、過去問と模擬試験の付き合い方についてお話してきました。苦手の克服と、時間戦略の重要性をお伝えしてきたつもりです。
今現在、学習の仕上げの段階に来ているという方は、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。
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