自分がパワハラに遭遇してしまった。そんな中愚弟的にどのように法律で対処したらいいのか?弁護士に依頼するにしても、得意案件とも限らない。そもそも引き受ける場合に、色々聞かれます。なぜなら勝てるかどうかです。パワハラを認定させるには、はっきり言って相当ハードルが高い案件なのです。
某とある市長が暴言で失職しました。道路の拡張で職員に暴言を浴びせ、それがパワハラとなった訳ですがパワハラを訴えるというのは具体的にどういう時なんだろうか?定義としては、立場の優位性を理由に相手の人格や体の自由を制限したり、暴力をふるったり様々な事が挙げられますが、実際相手を訴える場合にはどのように対処をしたらいいのか?労働審判の経験からアドバイスしたいと思います。
具体的にどういう場合に違法なのか
今回の市長でよく言われるのが、パワハラ罪というのがないという言い方をされる人がいます。確かに、どこかの大臣がセクハラ罪はないというのと一緒で、実はこれは定義でしかありません。
立場の優位性を元に相手に理不尽な事を要求したり、暴力ふるったりすることがパワハラと認定されるか否かであります。つまり訴状で書く場合、パワハラがあったという事に対して、どういう違法性があったのか?というのを相手に追求する必要があるのです。
今回の場合“火をつけてこい”というのは、これは見解として“強要罪”が抵触する可能性があります。どこかのコンビニで、お客が店員に対して土下座をしろという事がありました。これは強要罪が成立しています。強要罪は脅迫罪より罪が重たく、刑法223条(生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。)という大変重たい罪になるのです。
一方脅迫罪はこれより軽く、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。となっており、強要罪は実際にそれをさせた場合、ワンランク上の重たい罪になります。
今回の市長は、自身が弁護士であるという事もあり、こうした言動が違法性として極めて高い事を認識していて然るべきです。ただ人間ですから、口がすべってしまう事もあります。問題はここに継続性があるかどうかなのです。パワハラの中にどのように違法性がある事をやっているかが問題で、立場を理由に指導が要因で行き過ぎた言動が直ちに違法になるかどうかは、その他証拠などから判事が判断するほかありません。
受忍限度が関わってくる
今回録音テープによって市長の違法性を知る事となりました。しかしパワハラというのは、違法性があったとしてもそれが継続的に行われているかどうかも証明しなければなりません。仮に、違法性の高い言動があったとしてもそれに継続性が見られない場合は、受忍しなさいつまりそれぐらい我慢しなさいというのが日本の法曹の見解です。これが相手の人格を汚すような事を、毎日浴びせた結果精神的に追い詰められ、うつ病になってしまったなど少なくとも半年ぐらいの継続性があった場合に、パワハラによる損害賠償(民法710条 精神的苦痛による損害)を請求する事が出来ます。
この継続性を証明する為には、メモ帳で何月何日にこうした発言があった。あるいは音声データーの証明(訴状で出す場合には、反訳という書面を出す必要があり個人でやるにはちょっと手間がかかります。)あるいは立場の優位性というのも証明しなければなりません。例えば、同じ平社員でも先輩後輩という立場なら、それを証明しなければなりません。おおよその場合、訴状には認めると準備書面で書いては来るはずです。この立場の明確な立証は必ず必要となります。
パワハラでのハードルが高い理由として、”違法性が認められるが、それにどれだけの期間それを受忍していたか?”という部分で、損害賠償を請求しなければなりません。
例えば、労働債務であれば10時間働いて時給千円であれば、1万円が訴額となります。しかしパワハラにしろセクハラにしろ明確な金銭というのはありません。契約を切られたとか違法性があれば、それだって元の給料というのがあるのであらかた算出できるんですが、パワハラで受けた賠償を精神的苦痛だけで要求するには仮に勝ったとしても、支払いが少ないという結論に達してしまう事もあります。
そこで、パワハラにとって休暇を余儀なくされたとか、転職を余儀なくされたとかの経費をなんとか積算する必要があるのです。因果関係によってこれらが認められた場合に、それに対する損害賠償を判事が認めるという展開になるのですが、なかなかこれもハードルが高いのです。
弁護士は意外に冷たい
基本、音声やメモ書きなど明確な証拠が残っていないと相談すら乗ってくれない弁護士がほとんどです。つまり勝つ見込みがないんです。しかし一般社会で音声データーを取りながら、会話をやり取りする人なんていやしません。
つまり音声データーを取るという事は、それ以前に労働者に対して虐めがありその対処として音声を取るという行動にでている筈です。ところが法律では、あくまで音声をとったところがスタートで、それが証拠でそれ以上にはなりません。ここが立証責任を被害者が必ず行わなければならないという、極めて難しいところにこのパワハラが法廷闘争を難しくしているんです。
特に労働審判の場合、三回の審議の中で相手にそれらを認めさせなければなりません。通常訴訟の場合、長い闘いの中で相手の矛盾点や主張の食い違いが明確になり相手も長くなるようなら調停である程度お金を払って、問題解決を図るという事もありましょうが、労働審判の場合取り分け一回目の期日である程度証拠や言い分が精査されてしまいます。
私の場合に、第一準備書面を作り二回目に入ろうとしたところ相手の歩み寄りが全くないとみるやいなや、打ち切られ判決を出されました。つまり通常訴訟と労働審判の大きな違いは、徹底的にやるというよりかは早期に解決見込みがない場合は基本、かなり明確な証明が出来ない限り、敗色が濃厚という事です。
正直パワハラの案件で労働審判は不向きであると言わざるを得ない。その結果を弁護士はよく分かっていて、なかなか協力してくれる弁護士はおらず、自分で申立書を作るしかありませんでした。
相手はでっち上げは日常茶飯事
仮に違法性の高い発言や素行があっても、相手の準備書面はそうとう悪辣な事を書いてくる事がほとんどです。長くやっていれば誰しも完璧な就労とはいかないものです。それをあたかもオーバーに書いてこの原告の素行を悪さをでっちあげたり、様々な印象操作をしてきます。
違法性とまでは言わないものの、常識的にこの人は不適格でこちらもそれなりに受忍した部分があるのだと裁判所に言い訳をしてきます。実は裁判所はこうした水掛け論や、殺伐とした労働紛争はあまり好きじゃないというのが本音らしく労働者側に寄り添うとか親身になってくれると期待している人がいたらそれは大きな期待外れに終わります。
逆に、弁護士も雇えないような原告はむしろめんどくさい申立人として冷たくあしらわれてしまいます。残念ながら日本の労働者の人権レベルはヨーロッパより劣っているとしか思えません。
まとめ
私がなぜ労働審判でパワハラをやったのか?という事ですが、勿論賠償を取るという事が目的の一つですが、争議が多く成れば裁判所を通じて社会が対処すると考えました。詐欺の事件もそうですが、事件が多く成れば関心が出てきます。
でも多くの人達はそうした目的ではなく、相手に一矢報いたいというのがほとんどです。ただ期待外れなのは、謝罪を相手がする事はほぼ無いのです。
逆に、逆らいやがってという逆恨みがほとんどで、仮に賠償を勝ち取っても相手は何一つ反省はしていない。それが社会なのです。パワハラを裁判という形で利用する場合、金をふんだくってやるんだというちょっとしたたかさを持っていないと、なかなか勝訴を勝ち取るのは難しい案件であるように思います。
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